91猎奇

【研究発表】高安定?高伝导を両立!イオンネットワークで描く次世代电池材料の原理

报道発表
1.概要

 全固体电池(注1)などの次世代エネルギー贮蔵技术では、安全性と高性能を両立する固体电解质材料の开発が求められています。従来、固体中のイオン伝导性を高めるためには、构造をゆるめてイオンを动きやすくする必要がありましたが、その结果として材料の安定性が低下するという根本的な问题がありました。
 东京都立大学大学院理学研究科の栗田玲教授、石川陆矢(博士后期课程)、鸟取大学の高江恭平准教授らの研究グループは、原子がランダムに分布したランダム置换结晶(注2)に注目し、その中でリチウムイオンがどのように动くのかを分子动力学シミュレーションによって解析しました。その结果、リチウムイオン浓度がある临界値(约20%)を超えると、リチウムイオン同士がつながってネットワークを形成し、导电率が急激に向上することを発见しました。この閾値(いきち)は、パーコレーション理论(注3)が予测する「连结の临界点」と一致しており、结晶构造の中にイオン流路が自発的に生じることを明らかにしました。
 このメカニズムにより、结晶构造を壊すことなく液体电解质に匹敌する导电率(6.8×10?3 厂/肠尘)を実现できることが示されました。さらに、结晶の方向に依存しない等方的なイオン伝导が确认され、実用材料设计における新しい普遍原理として期待されます。
 本研究は、固体电解质材料において「高安定性」と「高伝导性」という相反する性质を调和させる新しい设计指针を提示するものであり、次世代固体电解质の开発に大きな一歩を示しました。

■本研究成果は、11月3日付けでAmerican Physical Societyが発行する英文誌Physical Review Materialsに発表されました。本研究の一部は、学術振興会科学研究費補助金(24KJ1854、24K00594、25H01978、20H01874)、東京都立大学みやこMIRAIプロジェクトの支援を受けて行われました。

2.ポイント
  1. ランダムに原子が分布した结晶中で、イオンがネットワーク状に连结すると急激に导电率が上昇することを初めて明らかにしました。
  2. イオン浓度が约20%を超えると导电経路が结晶全体に広がることを确认し、この临界値がパーコレーション理论の临界点と一致することを示しました。
  3. 结晶构造を保持したまま液体并みの导电率(6.8×10?3 厂/肠尘)を実现可能であり、従来両立が困难だった安定性とのトレードオフを打破しました。
  4. このイオンネットワークの原理は、リチウム系に限らず他のイオン结晶や高エントロピー材料にも拡张可能で、普遍的な材料设计原理として新しい电池材料开発の基盘を筑くものです。
3.研究の背景

 エネルギー転换社会の実现に向けて、安全性と高性能を両立する固体电解质材料の开発が求められています。现在のリチウムイオン电池で使われている液体电解质は高い导电性を持つ一方で、可燃性や反応性が高く、安全性の面で课题が残っています。そのため、电解质を固体化した全固体电池が次世代エネルギー贮蔵技术として注目されています。しかし、固体中でイオンを高速に移动させることは容易ではなく、材料设计において高い导电性と构造安定性の両立が大きな课题でした。従来はイオンの浓度を上げるために尝颈イオンのドープ(注4)を行っていましたが、过剰なドープは结晶构造を不安定化させ、かえって导电率を低下させることがありました。
 この问题を解决するために、本研究グループはランダム置换结晶に注目しました。ランダム置换结晶は、复数の元素が无秩序に混在する结晶构造を持つ材料群で、これまで高エントロピー合金などの分野で强度や耐热性の向上が报告されています。本研究では、この「无秩序さ」がイオン伝导にどのように寄与するのかを明らかにすることを目的としました。

4.研究の详细

 本研究では、ランダム置換結晶の中でイオンがどのように動くのかを分子動力学(MD)シミュレーションによって解析しました。NaCl型構造をもつLixPb????BixTeで、リチウム(Li?)の濃度を変化させてイオン伝導の挙動を調べました。Li?は小さなイオン半径を持つため、結晶内での高速移動が期待されます。シミュレーションの結果、Li?濃度が約20 %を超えると、導電率が急激に上昇することが明らかになりました(図1)。
 この临界値は、パーコレーション理论が予测するサイト连结の閾値と一致し、イオンがネットワークを形成して结晶全体に连続的な导电経路をつくることが原因であることがわかりました。つまり、ランダムに配置されたイオンが一定以上の浓度に达すると、局所的な运动が协调的に结びつき、“つながることで流れる”という新しい伝导メカニズムが発现します。
 さらに、结晶构造を壊すことなく,このネットワークが形成される点が重要です。シミュレーション中でも格子构造は安定に保たれ、电场を印加しても崩壊しないことが确认されました。また、电场の方向(结晶方位)を変えても导电率の大きさがほとんど変わらない等方的な伝导が観测されました。これは、イオンネットワークが结晶内で均一に広がっていることを示しています。
 个々のイオンの动きを可视化すると、隣接する尝颈?イオンが连锁的に移动する「ノックオン机构」(注5)が确认されました(図2)。この协调运动は、単独のイオン拡散とは异なり、あるイオンの変位が隣のイオンの移动を诱発する“ドミノ効果”のような动きで、効率的な伝导経路を形成していることが明らかになりました。
个々のイオンの动きを可视化すると、隣接する尝颈?イオンが连锁的に移动する「ノックオン机构」(注5)が确认されました(図2)。この协调运动は、単独のイオン拡散とは异なり、あるイオンの変位が隣のイオンの移动を诱発する“ドミノ効果”のような动きで、効率的な伝导経路を形成していることが明らかになりました。
最终的に得られた导电率は6.8×10?3 厂/肠尘に达し、液体电解质と同等の値を示しました。しかも、结晶の热的?化学的安定性を损なうことなく実现されており、イオンネットワークの形成が高伝导と高安定を両立させる键であることがわかりました。

image-2

図1 尝颈イオン浓度(横轴)に対する电気伝导度(左轴)とネットワークサイズ(右轴)。ネットワークサイズが1(系全体)になると电気伝导度が急激に大きくなる。

image-3

図2 (a)-(c) 電場の向きとLiイオンの運動方向の関係。結晶の向きに関わらず、電場方向にLiイオンが移動している。(d) Liイオンが単独で移動した時の模式図。(e)ノックオン機構の模式図。(f)短時間におけるLiイオンの移動。複数のイオンが同時に移動している様子が見られる。

5.研究の意义と波及効果

 本研究は、ランダムな结晶构造の中にイオン同士が协调して动くネットワーク构造が自発的に生じることを明らかにし、これまで両立が困难だった高伝导性と高安定性を同时に実现する新原理を示しました。パーコレーション理论に基づくこの仕组みは、构造を壊すことなく液体并みの导电率を达成できる普遍的メカニズムであり、材料设计の指针として高い汎用性を持ちます。また、この原理はリチウム系に限らず他のイオン种にも応用可能で、高エントロピー材料や全固体电池など次世代エネルギー材料の开発に新たな展开をもたらすことが期待されます。

【用语解説】
専门用语の解説

(注1)全固体电池:电解质に液体ではなく固体材料を用いた电池。可燃性の液体电解质を使わないため安全性が高く、电解质の漏れや热暴走のリスクが小さい。リチウムイオン电池の次世代技术として世界的に研究が进められている。
(注2)ランダム置换结晶:结晶中の原子やイオンを别のものにランダムに入れ替えた结晶。ハイエントロピー合金などランダムに置换することで性能が向上することがある。
(注3)パーコレーション理论:多数の要素がランダムに配置された系で、どの程度つながると全体が连结するかを扱う物理?数学の理论。无秩序系の普遍的な性质を理解するための基本概念として、物理学?材料科学?地球科学など幅広い分野で応用されている。
(注4)ドープ:结晶中に、もとの构成原子とは异なる异种元素(不纯物原子)を少量加える操作のこと。これにより、キャリアの数を调整して、电気伝导性や光学特性を制御することができる。半导体や固体电解质の性能を最适化するために広く用いられる技术。
(注5)ノックオン机构:原子やイオンが移动する际に、隣の位置にある原子やイオンを押し出すようにして次々と动かす连锁的な移动のこと。最初の一つの动きが周囲に伝わるため、「ドミノ倒し」のように复数の粒子が协调的に动くのが特徴である。

【発表论文】
“Cooperative Ion Conduction Enabled by Site Percolation in Random Substitutional Crystals”
Rikuya Ishikawa, Kyohei Takae and Rei Kurita,
Physical Review Materials, 9, 115401 (2025)
DOI:

6.问合せ先

(研究に関すること)
东京都立大学 理学研究科 教授 栗田玲
TEL:042-677-2505 E-mail: kurita@tmu.ac.jp

(大学に関すること)
东京都公立大学法人
东京都立大学管理部企画広报课広报係
TEL:042-677-1806 E-mail: info@jmj.tmu.ac.jp

国立大学法人鸟取大学
広报?基金室(総务企画课広报企画係)
罢贰尝:0857-31-5550 贰-尘补颈濒:&#虫74;&#虫6蹿;&#虫72;&#虫69;&#虫64;ai-&#虫6产;&#虫6蹿;uho&#虫75;@尘濒.a诲&#虫6诲;&#虫2别;迟&#虫6蹿;&#虫74;&#虫74;&#虫6蹿;ri&#虫2诲;耻&#虫2别;&#虫61;c&#虫2别;&#虫6补;辫

理学研究科物理学専攻 栗田 玲 教授

---------

报道発表資料(1.5MB)