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【研究発表】完全非接触で微小物体を拾い上げる空中音响ピンセットを开発

报道発表
1.概要

 音波が異なる媒質間を伝搬するとき、 ある条件下では直流的な力を観測することができます。この力は音響放射力と呼ばれ、古くから研究がされてきた物理現象です。この現象の重要な特徴の一つとして、音響放射力を利用することで、非接触で物体に力を与えられることが挙げられます。

 さらにこの音响放射力を応用し、物体を空中に浮游させる音响浮扬と呼ばれる技术が知られています。非常に强力な超音波を用いることにより、音响放射力を制御することで微小物体の浮游や非接触输送などが可能となります。

 東京都立大学大学院 システムデザイン研究科の近藤昇太大学院生(当時)、大久保寛准教授は、半球型の超音波トランスデューサアレイと適応的な位相振幅制御技術を巧みに組み合わせることで、音波を利用して完全非接触で空間にある微小物体を選択的に拾い上げる「空中音響ピンセット」なる新しいガジェットを開発しました。

 関连する绍介动画を、都立大颁丑补苍苍别濒()に掲载しています。

 本研究成果は、6月20日付けで、応用物理学会が発行する『Japanese Journal of Applied Physics (JJAP)』上で発表されました。本研究の一部は、村田学術振興財団の助成を受けて行われました。

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2.ポイント

 本研究のポイントは、完全非接触で物体をピックアップできることにあります。これまでも、过去の研究において、音を利用して微小物体を非接触で移动させる技术は报告されていました。しかし、実用上大きな问题となるのが、反射音の影响でした。トランスデューサアレイを用いて物体を操作する际に反射音によって音场が乱された场合、物体に力が正しく働かず、意図した操作ができなくなってしまうことがあります。そのため、従来技术では対象である微小物体に対して金属製ピンセット等を使用しトランスデューサアレイの近くまで持っていき、接触动作によって微小物体を音响的トラップにセットする必要がありました。つまり、音响浮扬自体は非接触操作であるにも関わらず、全体としては初动に接触操作が含まれるフレームワークでした。対向させたトランスデューサアレイによって、物体をそのまま浮游させる技术も存在しますが、この方式ではターゲットを选択的にトラップすることは原理的にできません。


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従来技术:微小物体に対して金属製ピンセット等を使って物体を音响的トラップにセットする様子

 本研究では、半球型トランスデューサアレイをマルチチャンネル化し、逆フィルタによる最适化を用いて适応的な位相振幅制御を行うことで、ステージ上にある物体を安定的に完全非接触で拾い上げることを试みました。结果として、半球型の超音波トランスデューサアレイと适応的な位相振幅制御技术を巧みに组み合わせることで、音波を利用して完全非接触で空间にある微小物体を选択的に拾い上げる装置「空中音响ピンセット」の开発に成功しました。

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提案技术:适応的な位相振幅制御でステージ上にある物体を完全非接触で拾い上げる様子

3.研究の背景

 音響放射力を利用することで、非接触で空間に物体を保持することが可能となることはよく知られた現象です。音響浮揚の一例として、定在波を用いて微小物体を浮遊させている様子を図1に示します。微小物体は、定在波による音圧の腹の位置から節の位置に力を受けます。図1では対向させた超音波センサアレイから周波数40[kHz] (波長λ≒8.5[mm]) の超音波を送信し定在波を発生させ、微小物体を浮遊させています。図中では、定在波による音圧の節の位置に微小物体が捕捉されるため、λ/2≒4.25[mm] の間隔で空間にトラップされていることになります。

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図1:対向させた超音波センサアレイで発生した定在波による音响トラップ

 また、半球状アレイと反射を利用することでも定在波を発生させることができ、図2のようにステージ上に音响トラップを作り、微小物体を补足することができます。

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図2:反射を利用した定在波による音响トラップ

 一方、本研究では、半球型トランスデューサアレイと位相振幅制御により、半球の轴上に図3のように集中的な音响トラップを作り、これをベースに「空中音响ピンセット」へ発展させました。

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図3:位相振幅制御による轴上の音响トラップ

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4.研究の详细

 「空中音響ピンセット」の研究は、多数のトランスデューサを用いた半球型アレイと位相制御の研究としてスタートしました(Yamamoto and Okubo, IEEE IUS 2018)。研究の初期では、物体を置くステージを工夫することで完全非接触のピックアップ技術を開発しました(Yamamoto and Okubo, IEEE IUS 2019)。その後、半球型トランスデューサアレイをマルチチャンネル化し位相振幅制御を組み合わせ、反射するステージから物理的な接触なしに物体を持ち上げることを報告しました(Kondo and Okubo, JJAP 2021)。図4に、位相振幅制御を用いた軸上のトラップ操作の様子を示します。

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図4:位相振幅制御を用いた轴上のトラップ操作の様子

 しかし、ピックアップは成功したものの再现性と安定性に课题がありました。そこで、さらに适応的なアルゴリズムを用いてピンセットの制御方法を调整することで、微小物体を安定して持ち上げることができるようになり、飞跃的に性能が改善されました。

 半球型トランスデューサアレイの駆动方法として、図5のように半球状のアレイの対向する半分を同位相で駆动する方法と逆位相で駆动させる方法を巧みに组み合わせます。具体的には、ステージと音响トラップ位置の距离によって适応的に形成する音场を修正します。

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図5:駆动方法を切り替えて音场を适応的に形成する様子

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5.研究の意义と波及効果

 研究チームの新しい知见は、空间に反射音があったとしても适切にトランスデューサアレイの位相振幅と励起モードを制御することで、安定性のある空中音响ピンセットを开発しました。

 物体に触れることなく动かすことができるというと、まるでマジックのように感じるかもしれませんが、生物学や化学の世界では、昔から光トラッピングと呼ばれる技术によって、光を使って微小な物体を动かしてきました。実际、この光トラッピングを用いた光ピンセットに対して2018年のノーベル物理学赏は与えられています。本研究の空中音响ピンセットは、光ピンセットの音响版ともいえる技术です。

 开発した空中音响ピンセットは、図6のように完全なる非接触で微小物体を选択的にピックアップすることができます。これは、物理的接触のない状态を厳密に保つ必要がある试料の操作や、无重力の空间を含む様々な环境下での微小物体操作など未来型技术への応用が期待されます。

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図6:非接触で微小物体を选択的にピックアップする様子

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【発表论文】

<タイトル>
“Improved mid-air acoustic tweezers using adaptive phase and amplitude control”

<着者名>
Shota Kondo and Kan Okubo

<雑誌名>
Jpn. J. Appl. Phys (2022)

<顿翱滨>

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6.问合せ先

<研究に関すること>
東京都立大学大学院 システムデザイン研究科 准教授 大久保寛
TEL:042-585-8637  E-mail: kanne@tmu.ac.jp
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<大学に関すること>
东京都公立大学法人
東京都立大学管理部 企画広報課 広報係
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报道発表資料(1.3MB)

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システムデザイン研究科 大久保 寛 准教授?

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